2008年01月20日

山頭火句集(一) / 種田山頭火(春陽堂)

山頭火

 今の自分は本当にどうしようもない。だから日々、膝を抱えてうずくまっている。答えを探そうと街を歩き回る。だけど、答えはすぐには見つからない。そしてまた途方に暮れてしまう。
 そんな状態だから、山頭火の言葉は痛いほど身にしみる。本当に痛い。声に出して読むとその何気ない言葉がものすごい力で僕を打ちのめす。その瞬間、僕は我を忘れてしまい、ただ空を眺めるしかなくなってしまう。
 でもしばらくすると心が落ち着いてくる。そして山頭火の言葉から何かを得ていることに気がつく。それに気がつけば大丈夫だ。
 だけど今はその言葉がなかなか素直に受け取れない。読んでも心が閉じたままなんだ。でもきっとそれも時間がたてば、また落ち着くに違いない。そう思うから今日も山頭火の言葉を何度も読み返している。
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2007年05月15日

智恵子抄 / 高村光太郎(新潮文庫)

智恵子抄

 言葉ですべてを伝えることは出来ない。でも言葉で何かを伝えることは出来る。

 詩人は時として言葉遊びをする。日々、言葉を紡ぎ、その言葉に思いを託して、作品へと昇華させる。そのすべてに真実があるとは限らない。でもその言葉の中に本当の気持ちは必ずあるものだ。だからこそ人は言葉に惹かれ、言葉に思いを託すのだと思う。

 枕もとに置いておいたこの本を久しぶりに読み返した。今日はただただ切なくて、何だかしんみりとしてしまった。
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2007年04月28日

みんな十九歳だった/山川健一(講談社文庫)

19

 大好きな音楽のことがたくさん書いてある。十代の甘酸っぱい出来事や切ない体験など、自分と重ね合わせて読んでしまう。大好きな本だ。
 何回も何回も読み返す。心が疲れた時に、ふっと手に取ってしまう。読んで、そこに書いてある音楽を聴いてみる。そして何だか元気になる。そんな本だ。
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2006年12月20日

戦争を知らない子供たち / 北山修(角川文庫)

戦争を知らない子供たち

 ずっと探していた本があった。古本屋さんをいくつもまわったけど、見つからなかった。もしやと思い、ヤフオクで探してみた。そしたら見つかった。嬉しくて入札したら見事、落札できた。
 その本が今日、届いた。状態もよく、梱包も丁寧で満足した。何より、封筒に書いてある出品者の方の文字がとても綺麗で感激した。きっと素敵な人なんだと思った。
 それが北山修の「戦争を知らない子供たち」だ。何だかとてもうれしい。だから今日はいい一日だった。時間をかけてゆっくり読もうと思う。
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2006年11月06日

ざらざら/川上弘美(マガジンハウス)

ざらざら

物語の根底に流れる感覚はいつもと同じだけど、少しだけ身近に感じられるところがあって、今まで読んだ中ではいちばん好きな作品かも知れない。この人が描く切なさは僕の心の奥の声と共鳴する部分が多いのだ。
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2006年08月16日

美女と野球 / リリー・フランキー(河出文庫)

美女と野球

ある人にリリー・フランキーの「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」を進められた。すぐには買わなかったが、ある時、ふと買ってみた。でも自分の母の病気のことがあって、なかなか読む気になれなかった。そして時が過ぎ、本屋で彼のエッセイ集を見つけた。それがこの「美女と野球」だ。一気に読んだ。彼の本を読むのは初めてだったけれど、面白いと思った。これだったら「東京タワー」も読めるかも知れないと思った。
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2006年07月30日

きちぼん(ラトルズ)

kichibon.jpg

ふと立ち寄った本屋さんで何気なく手にとって買ってしまった。

「きちぼん」

吉祥寺を愛する人たちが作った本。

帰り道に通る御蕎麦屋さんにいつも帽子をかぶったおじさんがいた。

何気なくこの本を見ていたら、その御蕎麦屋さんとおじさんが紹介されていた。

何だか謎がとけてすっきりした。

写真を見ているだけでも楽しい本。

吉祥寺に住んでよかったと思った。
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2006年07月12日

ノルウェイの森/村上春樹(講談社)

ノルウェイの森

ベッドの横の壁に飾ってあるたくさんのポートレートが扇風機の生温い風を受けてカタカタと音をたてながら揺れている。窓からはまだ涼しい風は入ってこない。また寝苦しい夜になりそうだ。

何にもないことがこわくて本ばかり読んでいる。久しぶりに「ノルウェイの森」を読んだ。一年振りくらいだろうか。心が疲れている時に読み返すことが多い。読んでいるともっと落ち込んだりするんだけど、最後のレイコさんの「幸せになりなさい」という言葉に救われるのだ。この物語が伝えたいことはそれに尽きる。僕は最後の最後にその言葉を読んで元気になるきっかけをもらうのだ。
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2005年09月13日

イージー・ゴーイング / 山川健一(アメーバブックス)

イージーゴーイング

最近、疲れたらこの本を手に取ることにしている。大好きな山川健一のエッセイだ。まさに今の僕のためにあるような内容で読むと涙が出てくる。日々、がむしゃらに突っ走ることは悪いことじゃないけど、時にまわりが見えなくなって気がつけば身動きがとれなくなっている時がある。そんな時には肩肘はらずに力を抜いて休む事も必要だ。この本はそんな日常生活においてとても基本的で重要なことを教えてくれる。大好きだ。
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2005年06月10日

溺レる / 川上弘美(文春文庫)

溺レる

恋人に借りて読んでいる。8編の短編が収められている。どの物語も切ないのだ。どう切ないのかうまく説明出来ないけど、そんな切なさなのだ。
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2005年03月01日

マーク・ロスコ / ヤコブ・バール=テシューヴァ(タッシェン・ジャパン)

 ロスコの絵が見たくて、近くの図書館まで行ってきた。大きな画集があるはずなんだけど、あいにく今日はなかったので、仕方なく手にとったのがこの本である。去年の夏に出たばかりの本だ。

 ロスコの絵はいかなる批評も必要としない。見るものがただ感じるだけでいいのだ。そこにあるいくつかの色から何かを感じるだけでいいのだ。
 僕はまだ本物のロスコの絵を見たことがない。画集を見ているだけで、その絵の放つ色の中に吸い込まれそうになるから、本物の絵を見たら想像を絶する体験になるだろう。
 日本では千葉県佐倉市にある、川村記念美術館で7点の作品を見る事が出来る。いつか訪れてみたいと思う。


rothko
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2005年01月26日

愛と美について / 太宰治(竹村書房)

 太宰の昭和14年に発表された短編集である。僕はこの本の復刻版を図書館で読んだ。現在はこの中の五作はいずれも新潮文庫の「新樹の言葉」に収録してある。 この中の「秋風記」が好きだ。今日、読み返してみたけど、今日の僕はどうしようもないくらい切なくて、言葉のひとつひとつが胸に突き刺さってきてたまらなくなった。 
 本というのは読む時を間違えると、とことん僕を落ち込ませる力を孕んでいるが、今日もこの「秋風記」を読んだのは明らかに間違いだった。もう切なさの洪水に飲み込まれて大変なのだ。
 でもこんな時は一人でじっとしているしかないので、部屋で一人、心が落ち着くのを待っている。今日の僕はただの肉の塊です。
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2005年01月16日

サンタのいる空 / 山川健一(角川文庫)

 大好きな山川健一の短編集である。この中でいちばん好きなのは「鋼のように、ガラスのように」だ。ジョン・レノンの死を物語の核にして主人公の心の動きを追ってゆく。ジョンのことを考える時、誰もが一度はそこに行き着く「答え」を山川氏は主人公に語らせている。

 ジョンは、わたしたちをストロベリー・フィールズへ連れて行ってくれた。
 目を閉じていても気楽に暮らしていけた苺畑。けれど、ふと気づくと、
 迷いこんだ苺畑からわたしたちは出られなくなってしまっていた。


 間違いなく、僕もそんな「わたしたち」のうちの一人だ。ジョンは楽しい夢をたくさん見せてくれたし、音楽の素晴らしさも教えてくれた。そしてその対極にある厳しい現実世界の恐ろしさや儚さも教えてくれた。
 この小説はそんな「わたしたち」にとっては心臓を激しくえぐられるような気持ちになってしまう作品なのである。
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2005年01月13日

パンドラの匣 / 太宰治(新潮文庫)

 太宰治が河北新報に・載した「パンドラの匣」と「正義と微笑」の青春小説二作を収録してある。他の太宰の作品と比べると異色というか変に前向きであるが僕は好きである。
 玉川上水沿いの道を歩きながら、よく太宰のことを思う。この小説を・載中、太宰はもうすでに前向きな気持ちは損っておらず、物語を早々と完結させたらしい。どんな思いがあったのかは僕にはわからない。でもこの小説は物語として純粋に生きている作品だと思う。
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2005年01月09日

地獄変 / 芥川龍之介(集英社文庫)

 今日はこの本を読んでいた。芥川の前期の代表作がほぼ収録されているから好きな本である。この人の小説は純粋に物語として面白いから大好きだ。
 「鼻」、「芋粥」、「地獄変」、「蜘蛛の糸」、「奉教人の死」、「トロッコ」などはいつも夢中になって読んでしまう。今日も朝からこれらの物語をじっくりと味わう事が出来た。

地獄変
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2005年01月04日

真夏の犬 / 宮本輝(文春文庫)

 大好きで何度も読み返してしまう本である。九つの短編が収録されている。どの物語も味わい深くて好きだけど、特に好きなのは表題作の「真夏の犬」、「ホット・コーラ」、「階段」の三作である。
 「真夏の犬」はいつでも自分が主人公の少年になってどきどきしながら読んでしまう。何度読んでもそのたびに物語に入り込めるというのはやはりすごい事だと思うのだ。僕は輝さん渾身の長編も大好きだが、短い中に凝縮された様々な物語を堪能出来る珠玉の短編たちも大好きなのである。

真夏の犬
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2004年12月19日

蛇を踏む / 川上弘美(文春文庫)

 彼女がこの本を読んでいて、彼女のお母さんもこの本を買ったと聞き、僕も買ってみた。不思議な世界である。非現実的で小さな出来事がいくつも連なって物語が形作られてゆく。彼女が「夢日記を読んでいるみたい」と言っていたけど、僕もそれに近いものを感じた。
 「消える」はとっつきにくい部分が多くていまいちだった。個人的には最後の「惜夜記」がおもしろかった。これこそまさに夢を見ているような感覚に陥ってしまった。あまり深く意味を追わないで言葉遊びに近い感じでとらえたらおもしろく読める本だと思った。

蛇
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2004年12月13日

マリコ/マリキータ / 池澤夏樹(文春文庫)

 池澤夏樹の小説はおもしろい。読んでいるうちにどんどんその物語に引き込まれてゆく。はじめて読んだのは、「スティル・ライフ」だったが自然との関わりについての独特な考え方に共感して他の作品も読みたいと思ったのがきっかけだった。

 これは五つの物語を収めた短編集である。表題作も好きだけどこの中で一番好きなのは、「帰ってきた男」である。この物語を読むたびに、「生きること」について考えさせられる。神秘的な音楽の聞こえる未知の遺跡の中で、すべてをその中に委ねて、「緩慢な自殺」をしようとする男と、「人がいるべき場所はこの地上以外にはない」と現実の世界に戻る事を選んだ男。もし僕が同じ立場にいたらやはり、「あちらの世界」よりも、「現実の世界」に戻る方を選ぶと思う。

マリコ/マリキータ
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2004年11月25日

新版 貧困旅行記 / つげ義春(新潮文庫)

 漫画家、つげ義春が自らの旅行について語った旅日記である。何故か好きで何回も読み返す本である。映画にもなった、「蒸発旅日記」はいつも切なくなりながら読んでしまう。別にわくわくするような事はないかも知れないけど、蒸発しようと思ったつげ義春の心情に思いをはせながら読むとやはり切なくなる。旅行記のほかにも、印象的な写真も多くて、僕は読みながら旅の疑似体験をしてしまうのだ。

つげ
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2004年11月23日

偶然の祝福 / 小川洋子(角川文庫)

 初めて読んだのは、「ホテル・アイリス」だった。その物語にももちろん熱中したが、その綺麗な文章にもはまった。
 小川洋子の書く文章は本当に綺麗だと思った。一切の無駄がなく緻密に構成された文章を読むのは本当に心地よいのだ。
 この、「偶然の祝福」は一人の小説家の女性を主人公にした七つの短編からなる連作小説である。
 さり気ない出来事でもある種の緊張感を持たせてあって、読んでいてだらける事がない。物語に自然に入っていて、読み終わった後はいつも不思議な感覚に包まれている。
 その不思議な感覚を説明するのは難しい。でもその感覚を僕が大好きだという事は確かな事実である。

偶然の祝福
posted by 慈音 at 19:22| Comment(2) | TrackBack(1) | 慈音書房 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする