2005年01月16日

サンタのいる空 / 山川健一(角川文庫)

 大好きな山川健一の短編集である。この中でいちばん好きなのは「鋼のように、ガラスのように」だ。ジョン・レノンの死を物語の核にして主人公の心の動きを追ってゆく。ジョンのことを考える時、誰もが一度はそこに行き着く「答え」を山川氏は主人公に語らせている。

 ジョンは、わたしたちをストロベリー・フィールズへ連れて行ってくれた。
 目を閉じていても気楽に暮らしていけた苺畑。けれど、ふと気づくと、
 迷いこんだ苺畑からわたしたちは出られなくなってしまっていた。


 間違いなく、僕もそんな「わたしたち」のうちの一人だ。ジョンは楽しい夢をたくさん見せてくれたし、音楽の素晴らしさも教えてくれた。そしてその対極にある厳しい現実世界の恐ろしさや儚さも教えてくれた。
 この小説はそんな「わたしたち」にとっては心臓を激しくえぐられるような気持ちになってしまう作品なのである。
posted by 慈音 at 22:25| Comment(2) | TrackBack(0) | 慈音書房 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
山川氏って、カッコイイ大人ですよね♪
私が、高校生の頃に丁度・・・『TO-Y』読んでた
時期、山川氏の『ロックス』とか
村上氏の『コインロッカーズベイビー』とか
読んでましたよw
思春期には、刺激強過ぎましたけど・・・(笑
かなり影響受けました。私にとって山川氏の書く
著書はどれもリスペクトであります。
Posted by NIYA3号 at 2005年01月18日 02:20
山川氏の初期の小説はヘヴィでやりきれなくなるものが多いけど、それでも好きで読んでしまいます。「コインロッカー・ベイビーズ」は僕も好きです。あの混沌としたやりきれない物語にもはまりました。
Posted by 慈音 at 2005年01月20日 21:02
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック